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Q.ネットワークの範囲で授業ネタに困ることが多いんですが…
と聞かれることが多くて。
IPの仕組みやサーバーに関するネタをあれこれとよく話すんですが、経路に関するネタはあまり興味を持たれず悲しいので、ここに記しておこうかと。
※別件ですが、千葉県のlg.jpサーバー問題はかなり改善されました。ありがとう熊谷知事!本当に!!(過去ログ参照)
1.tracerouteだけでも面白い
- ログを読んでみよう サーバーの物理的な設置場所が事前にわかるものにTracerouteするといい。 (学校内で使っているWebサーバーとか。)
>tracert cis.kashiwanoha.ed.jp
- 結果をMAP(現実)に落とし込んでみよう

Tracerouteの各ホップの位置をIPから推定して、MAPにPinを立ててくれる。
ネットワークを旅する様子がアニメーションとして可視化されるので結構楽しい。

※左図はcis.kashiwanoha.ed.jpを検索した結果。CloudflareのProxy(CDN)を使っているので、アメリカが終着点となる。

※宮内庁を検索した結果。
内閣府も千葉県も、終着点はアメリカだった…。
実は日本国内で完結するサーバーを探す方がムズカシイ。
- 意味を探ってみよう
- AIに解説させてみよう 結果をAIに張り付けて解説させるのも面白いです。 ホスト名が出ていないものを読み解くのも面倒ですし…各自で遊べますし!
- 1〜4: 自宅LAN → ぷらら(NTTのISP)アクセス網
- 5〜7,9〜10: NTTの国際バックボーン gin.ntt.net(東京拠点内でルータ間を移動)
- 10以降: tfbnw.net(MetaのAS32934)へ流入、東京POP内を数ホップ進んで instagram のエッジ に到達
- 自宅の NAT/ホームルータ。私用アドレスなので妥当。
- 24ms は単発のバースト(測定瞬間の処理待ち)。問題なし。
- ぷらら(NTTぷらら)アクセス網の最寄りBRAS/収容ルータ付近。
plala.or.jpの逆引きがそれを示唆。- ぷらら網の次段。逆引きが無いだけで中身は上と同系。
- ぷらら網内の別ルータ。レイテンシ安定。
- ぷらら→NTT GIN への出口付近。ここから事業者バックボーンへ寄っていく。
- NTT網(地域ノード〜バックボーンの境界あたり)。
- gin.ntt.net は NTTのグローバルバックボーン。
ae-7は Aggregated Ethernet(束ねインタフェース)番号。a04.tokyjp05は 東京(to ky jp)拠点群の装置a04 という命名。- 103ms は外れ値(一瞬のキュー詰まり or ICMP低優先度)。次ホップ以降は低遅延なので経路自体は健全。
- 典型的な ICMP応答制限/フィルタ。
- 「ここを通れなかった」ではなく「応答を返さない設定」のことが多いです。
- 同じく NTT GIN 東京内の別ルータ。
tokyjp08へ装置が変わっている=同拠点内での横移動。- ここが NTT GIN → Meta (Facebook/Instagram) のピアリング境界。
metaラベル付きの対向。ここで AS32934 (Meta) 側へ交通が渡ります。- Meta側に入った最初のスイッチ群。
tfbnw.net= The Facebook Network(Metaのバックボーン)。aswは Aggregation Switch と解釈されることが多い命名。po4004は Port-Channel(LAG) #4004 を示す典型。nrt1は 東京拠点(Naritaコード)。pswは Peering/Provider Switch 系の命名で使われがち。- 東京POP内でさらに内部へ。29ms は軽いバースト。
mswは Metro/Backbone/Module Switch 的な命名に見えます(Meta固有の略称)。- 56ms は単発の揺れ。次ホップはふつうに低いので気にしなくてOK。
- 最終宛先(Instagramのエッジ)。
fbcdn.netは MetaのCDNドメイン。nrt1が付いている=東京のエッジ/キャッシュで応答。- 数十ms以内で安定しており良好です。
- 国内(東京)でMetaにピアリングし、そのまま 東京のInstagramエッジで応答。
- 全体遅延は10〜20ms台中心で、局所的な外れ値(Hop7, 12, 13)はICMP優先度や瞬間混雑の影響。実アプリ遅延とは直結しません。
- 経路は短く、ISP(ぷらら)→NTT GIN→Meta東京POP の理想的な流れ。
ae-#= Aggregated Ethernet インタフェース番号po####= Port-Channel(LAG)番号asw/psw/msw= 集約/ピアリング/コア系スイッチを示すことが多い接頭辞tokyjp## / nrt#= 東京拠点(館やフロア違い)
プロンプト「トレースルートの結果を解説して」 ※読みにくいです
「トレースルートの結果を解説して」
いいトレースです!これは 自宅 → NTTぷらら網 → NTTグローバルIPバックボーン(GIN)→ Meta(=Facebook/Instagram) 東京POP → Instagramエッジ という王道ルート。各ホップを読み解きます。
ざっくり全体像
各ホップ解説
1) 192.168.30.1(1/4/24ms)
2) i118-21-182-55.s99.a049.ap.plala.or.jp [118.21.182.55](7/5/4ms)
3) 118.21.184.181(8/8/7ms)
4) i118-21-178-61.s99.a049.ap.plala.or.jp [118.21.178.61](6/5/10ms)
5) 211.6.91.173(13/10/16ms)
6) 60.37.54.165(8/6/14ms)
7) ae-7.a04.tokyjp05.jp.bb.gin.ntt.net [120.88.53.25](103/8/12ms)
8) * * *(タイムアウト)
9) ae-0.a03.tokyjp08.jp.bb.gin.ntt.net [129.250.5.203](9/12/9ms)
10) ae-1.meta.tokyjp08.jp.bb.gin.ntt.net [157.238.226.59](11/12/12ms)
11) po4004.asw01.nrt1.tfbnw.net [147.75.221.42](8/9/13ms)
12) psw02.nrt1.tfbnw.net [173.252.66.63](29/14/26ms)
13) msw1aj.02.nrt1.tfbnw.net [129.134.80.237](22/56/31ms)
14) instagram-p42-shv-02-nrt1.fbcdn.net [157.240.31.174](28/15/13ms)
何が読み取れる?
ちょいテク(読み方のコツ)
まとめ
このトレースは、ぷらら→NTTバックボーン→Meta東京POP→Instagram東京エッジという非常に健全で近い経路です。アプリ体感も良いはず。Hop 7/12/13 の突発的な高RTTは 測定上の揺れとして扱ってOKです。必要なら、この経路も「路線図」風に可視化しますよ!
- 生徒が使っていそうなWebサイトをTracerouteしてみよう。 X.comとか、Google.com。FacebookとかAmazon.co.jpも面白い。
DNSやDCなどのサーバーを自前で使っている所と、ClooudFlareを使っている場所で見比べるのが個人的には好き。
2.IPv4とIPv6の違いを学んだあとなら、比較もできる
IPv4とIPv6の比較や、経路の違いを見るだけでも相当に面白い。
現在執筆している環境ではIPv6環境がなかったため、VPSのログを提示しておく。
VPSからGoogleのDNSに到達するまでの経路(AI)
■比較表
ホップ数 | IPv4 | IPv6 |
ㅤ | GMO → NTT → Google | GMO → JPNAP → Google |
経路タイプ | トランジット | ピアリング |
ホップ数 | 9ホップ | 実質6ホップ |
遅延 | 約1ms台 | 約1ms台 |
最適度 | 中 | 高(最短距離) |
接続形態 | 上位ISPを経由 | 直接Googleへ到達 |
- 1〜5:GMOインターネット内部バックボーン(AS7506)
→ すべて東京データセンターのルータ。
- 1〜5:GMOインターネット内部バックボーン(AS7506)
→ IPv4同様、東京DCのルータ。
- 7〜8:Google 東京PoP(AS15169)
→ Googleのバックボーン入口。
- 7〜9:Google 東京PoP(AS15169)
→ Google側のIPv6バックボーンに直接入る。
- 9:8.8.8.8
→ Anycastで東京PoPが応答。
📍 IPv4は「GMO → NTT → Google」という構成
📍 IPv6は「GMO → JPNAP(IX直結)→ Google」という最短経路
■ なぜこうなるのか?(理由)
IPv6による最適化
- そもそもGoogle(AS15169)は世界中でIPv4よりIPv6を最適化する方針を持っている。
- 各端末がグローバルIPを持ち、NATが不要(直通)できるため経路が効率化されやすい。
3.ついでに、NSとか見ても面白い。
- x.comの例
※x.comのNSが、TwitterDNSのまま流用されていることが解る。
- facebookとinstagramの比較
※同じMetaのNSが使用されている
まぁ…
- MAPに落としこむとTracerouteの中身が見えるようになって面白いよ。
- 実際の経路を指で追わせるだけで理解度が変わるんじゃないかな?
…という話でした。長々と呼んでいただきThanks!